出口治明『本の「使い方」』教養を身につけるための『三智』を知ることが大切

本の「使い方」

2017年3月15日、ライフネット生命保険の出口治明さんが6月で会長を退任することを発表しました。60歳で創業するというのは、本当にスゴいですよね。また多くの会社員の方にも勇気を与えたのではないでしょうか。

退任に関する記事は、東洋経済オンラインの「ライフネット出口氏「僕が会社を辞める理由」」に掲載されています。

出口治明さんは多くの著作の中で書かれているように、読書家としても知られています。

そんな彼の「本」に対する向き合い方を知ることができる『本の「使い方」』を紹介します。

 

本の「使い方」

本書のコピーを借りると「1万冊を血肉にした方法」が書かれている『本の「使い方」』は、全5章で構成されています。

  1. 本とは「何か」―教養について考える
  2. 本を「選ぶ」―「おもしろそうな本」という鉄則
  3. 本と「向き合う」―1行たりとも読み飛ばさない
  4. 本を「使う」―著者に左右される人、されない人
  5. 本を「愛する」―自分の滋養、他者への架け橋

 

本とは「何か」―教養について考える

出口治明さんは、「教養を身につけるための『三智(さんち)』」という言葉をよく言います。

この「三智」は島崎藤村の言葉です。

「人の世に三智がある 学んで得る智 人と交わって得る智 みづからの体験によって得る智がそれである」

これはそれぞれ以下の3つを表します。

  • 本を読んだり、話を聞いたりして得る知恵
  • 他人との交流を通して、人から得る知恵
  • 実際に体験して得る知恵

出口治明さんもこのように言います。

私も

  • 「人」から学ぶ
  • 「本」から学ぶ
  • 「旅」から学ぶ

の3つ以外に、教養を身に付ける術はないと考えています。

このうちのひとつが「本」であるという考えです。

 

本が持つ5つの優位性

また、出口治明さんは本が持つ優位性について、次の5点をあげています。

  1. 何百年も読み継がれたもの(古典)は当たりはずれが少ない
  2. コストと時間がかからない
  3. 場所を選ばず、どこでも情報が手に入る
  4. 時間軸と空間軸が圧倒的に広くて深い
  5. 実体験にも勝るイメージが得られる

 

人生の5割は、本から学ぶ

三智にある「人、本、旅」のバランスは、人によって異なると言います。

出口治明さんは「人:本:旅」=「2.5:5:2.5」くらいだそうです。

ちなみに僕はというと「1:6:3:くらいでしょうか。ちょっと人が少ない気がするので、もう少しバランスを整えたい気もします。

 

新聞、インターネット、本を、特性ごとに使い分ける

また、本書では、新聞、インターネット、本の使い分けについても詳しく言及しています。

  • 新聞:価値の序列を付けて、文脈を伝えるツール
  • インターネット:速報性と検索性に優れたツール
  • 本:時間軸、空間軸が広く、全体的な知識を得るツール

どれが良くてどれが悪いかは一長一短なので、使いわ分けることを意識してみましょう。

 

本を「選ぶ」―「おもしろそうな本」という鉄則

普段、本を読まない人は何から読んで良いか分からないという人も多いと思います。前章では「自分の興味の持てるもの」や「自分の好きなもの」で良いとあります。

その先の段階として、未知の分野の勉強としては以下の方法をあげています。

  • 新しい知識を整合的に学ぶには、7〜8冊の本が必要
  • 新しい知識を得るときは、「厚い本」を最初に読む
  • 学んだ知識を実際に試してみる
  • マイルールを決めたら、あとは淡々と従う

出口治明さんはこの「マイルールに従う」ということが、とても得意なように感じます。

このうち「厚い本」から読むというのは、ぜひ参考にしたいと思いました。

 

本と「向き合う」―1行たりとも読み飛ばさない

本をどう読んでよいか分からないという人に役立つのが本章です。いくつか見出しをあげてみましょう。

  • ネクタイを締め、正座をするぐらいの気持ちで本を読む
  • 歯を磨くように習慣化する
  • 線を引いたり、付箋を貼ったりしない
  • ストーリーで覚えると、忘れにくい
  • 本は、素直に頭から読む
  • 目次や見出しを拾っても、本を読んだことにならない
  • たくさん読んでも、何も残らなければ意味がない

これらは個人差があります。線を引いたり、付箋を貼ったりする人もいますし、熟読ではなく速読の人もいます。あくまで出口治明さんの方法(考え方)であるということを覚えておくことが大切です。

 

ビジネス書との距離の取り方

面白いのは「ビジネス書との距離の取り方」です。

出口治明さんは以下の理由で、ビジネス書をあまり読まないそうです。

  1. ビジネス書は、後出しジャンケンである
  2. ビジネス書は、抽象化されすぎている

とはいうものの、良書も確実にあるとあります。そのひとつにちきりんさんの『自分のアタマで考えよう』をあげていました(ちきんさんスゴい!)。

 

本を「使う」―著者に左右される人、されない人

本を1冊読むたびに、その本の主張に影響される人がいます。

あるデータによると、日本人の72%が「新聞や雑誌にかかれていることが正しい」と思っているそうです。

このデータは非常に危険ですね。とは言え、「本の主張に影響される」というのは思い当たります…(汗)

 

自分と著者の考えが違うとき

本を読んだとき、著者の主張を100%理解する必要も、100%同意する必要もありません。個々の読む能力に応じて、理解の度合いも違ってきますが、その時その時の自分の能力に合わえて、自分なりに納得して腑に落ちれば、それでいいと思います。

特に「古典」の場合はそうであるとあります。本を読むのってタイミングがけっこう大きいと感じます。僕は、その本を読んだときに「違うな」と思ったらすぐにやめるようにしています。

 

今日のまとめ

出口治明さんの『本の「使い方」』を紹介しました。本の選び方が分からないという人から、どう読めばいいのか分からない、どのように役立てればいいのか分からない、という段階ごとに役立つ一冊になっています。出口治明さんの著作はとても丁寧で、学ぶべきことが多く感じます。