『イーロン・マスク 未来を創る男』今もっとも熱い人物を知るための評伝

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スティーブ・ジョブズに代わるカリスマとして注目を集めているイーロン・マスク。

日本ではテスラの電気自動車、そしてスペースXがロケットをバンバン発射するようになってからにわかに知名度が上がってきましたよね。もちろん僕も大好きな人のひとりだったりします。

そんなイーロン・マスクの初の評伝となるのが本作『イーロン・マスク 未来を創る男』です。

『イーロン・マスク 未来を創る男』

本作は全11章で構成されています。

  1. イーロン・マスクの世界 「次の」ジョブズはこの男
  2. 少年時代 祖国・南アフリカの甘くて苦い記憶
  3. 新大陸へ 壮大な冒険の始まり
  4. 初めての起業 成功への第一歩を踏み出すまで
  5. ペイパル・マフィア 栄光と挫折とビッグマネー
  6. 宇宙を目指せ ロケット事業に乗り出すまで
  7. 100%の電気自動車 テスラモーターズという革命
  8. 苦悩の時代 生き残りをかけた闘い
  9. 軌道に乗せる 火星移住まで夢は終わらない
  10. リベンジ 21世紀の自動車を世に出す
  11. 次なる野望 イーロン・マスクの「統一場理論」

目次を見ると分かるように、一冊読むことでイーロン・マスクの幼少期から今(正確には本が出版されるまで)のことが分かるようになります。

マスク独自の思考法

第1章では、「イーロン・マスクがいかにスゴいか」が書かれています。

そのためイーロン・マスクの生い立ちが書かれるのは、第2章からになります。

イーロン・マスクといえば有名なのが「すさまじいほどの読書欲」です。

本書にも少年時代のイーロン・マスクがいかに本を読んでいたかが書かれています。

1日10時間、本にかじりついていることも珍しくなかった。週末は2冊を1にちで読破していた

これは弟のキンバルのコメントです。

そのうち学校の図書館でも近所の図書館でも読むものがなくなった。3年生か4年生のころだ。新しい本を入れてくれと図書館に頼み込んだこともある。仕方ないのでブリタニカ百科事典を読み始めたら、これがおもしろかった。いかに自分が知らないことが多いかがわかるんだ

本を読み続けた結果、「歩く百科事典になった」といいます。

こういうのを読むと「今からでは遅い」と諦めてしまう人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。「今から遅いこと」なんて何ひとつないので、はじめることが大切です。

そして、祖国アフリカを捨てて大陸(カナダ)に行くことになります。

航空券を受け取ると同時に、マスクは躊躇なく旅立った。

祖国に永遠の別れを告げた瞬間だった。

1994年のマスクが予測した未来

起業前のイーロン・マスクが予測した未来とは以下のものです。

つまり、「インターネット」「宇宙」「再生可能エネルギー」の3つの分野こそ、今後、大きな変化を遂げる分野であり、自分が影響力を発揮できる市場だと見ていたのだ。

このどれもを実行しているのがスゴいことですよね。これから事業をはじめたいと考えている人も、参考にしてみるのもオススメします。特に「宇宙」「再生可能エネルギー」なんてまだまだこれからではないでしょうか。

ベンチャービジネス

1995年、イーロン・マスクとキンバル(弟)はzip2というベンチャー企業(ディレクトリサイトのようなものを作る事業)を立ち上げます。

ベンチャー経験がある方なら誰もが経験したことがあると思いますが、例外なく彼らもまた猛烈に働いていました。

1日4食ともジャック・イン・ザ・ボックス(大手ハンバーガーチェーン)ということもありました。24時間営業なので私たちのスタイルに好都合だったんです。いまだにメニューを全部言えますよ

これを「楽しい!」と感じられる人が仕事で「成功する」のかななんて思います。

ネット銀行という大野望

見出しを見ると分かるように、いよいよペイペルの面影が見えてきます。

マスクが狙っていたのは、ネット上に本格的な金融機関を作ることだった。普通預金口座、当座預金口座はもちろん、証券や保険まで取り扱う総合金融機関である。

もちろん「新しいこと」をはじめようとすると、弊害があるのは言うまでもありません。まして、この時代はオンラインショッピングに抵抗がある人がほとんどだった時代です。

ちなみに、イーロン・マスクがはじめたのは「X.com」で、当時の「ペイパル」はライバル会社でした。そして紆余曲折を経て、手を結ぶようになりました(僕も初めて知りました)。

欲しい人材 要らない人材

この言葉もスティーブ・ジョブズと共通しますよね(笑)。

マスクは、学校の成績がいいだけでなく、何かずば抜けた才能がある優秀なエンジニアを常に探し求めていた。めぼしい人材を見つけると、あらゆる手を尽くして入社を迫る。

一方、「要らない人材」には容赦ありません。

彼はよく言っていますよ、『クビにするタイミングを先送りにすればするほど、とっととクビにしとけばよかったと後悔する時間も長くなる』って」(スパイクス)

これはちょっと分かるような気がします…。人間、関係を切るときは「そのとき」がいちばんなのかもしれません。

リチウムイオン電池なら

ここに来てテスラの登場です。

マスク自身、電気自動車についてはずっと考えていた。マスクの構想は電源にウルトラキャパシターを使うものだったが、リチウムイオン電池の進化の凄まじさを耳にして、大いに興奮していた。

こうしてイーロン・マスクは、エンジニアに1万ドルの出資を約束しました。

結果は誰もが知るとおり、これから先も楽しみですよね!

破産寸前

仕事をしていてぶつかるのが「お金」の問題です。本章では、イーロン・マスクがリーマン・ショックのあった2008年頃に破産寸前に追い込まれる様子が描かれます。

「普通の人間ならば、あれだけのプレッシャーにさらされたら、どこかで判断ミスを起こすでしょう。イーロンはそんな状況でも明快で長期的な意思決定が下せる人間です。難しければ難しいほど、彼は力を発揮するんですよ」

なりたくはありませんが、この覚悟は必要ですよね…。

上場はまだまだ先

有名なことですが、スペースXは上場企業ではありません。上場すると「目先の利益」を追求することになり、「長期的な目線」を持ちづらくなってしまうからです。

上場を期待する社員に対して、イーロン・マスクは「上場について」というメールを送りました。

(前略)

また、市場の裏をかいえスペースX株を「最高のタイミング」で売却できると思っている、おめでたい方々に言いたい。並みいるヘッジファンドマネージャーより本当に腕がいいなら、スペースX株の価格を心配する必要はありません。他の上場企業の株に投資して莫大な資産を作ればいいだけではありませんか。

すさまじい皮肉です(笑)。

なぜテスラは勝ったのか

事業をする人にとって共通すること。

それは、妥協することなくビジョンを徹底して追い求め、マスクの要求水準を達成するために全社員が全身全霊で打ち込んだかどうかだったのである。

学びしかありません。

ラリー・ペイジ、マスクを語る

11章はイーロン・マスクの「次なる野望」ということで、新たなビジョンが描かれます。

たとえばそれは「太陽光」だったり「ハイパーループ」だったりといったものです。本書(英語版)が発売されたのは2015年なので、「今やってる!」ということもありますよね。

さて、グーグルの共同創業者のひとりラリー・ペイジもまた、イーロン・マスクの支持者として知られます。

イーロンは本当に刺激になる存在です。以前、彼は『何をしたらいいかな。自動車、地球温暖化の問題を解決して、人類を惑星間で活躍できるようにして……』なんて言っていました。注目せずにはいられないでしょう

ふたりの友情にも近いものを感じますよね。

事実、いきなり泊まりにくることもあるそうです(笑)。

今日のまとめ

『イーロン・マスク 未来を創る男』を紹介しました。

僕はこの本を読むのにスゴく時間がかかったのを覚えています。評伝なので特別難しいわけではないのですが、初めてイーロン・マスクのことについて書かれた本だったので、熟読していたのです。

「スティーブ・ジョブズの次の人」というと語弊はありますが、トレンドを知っておく上でも絶対に押さえておきたい人物であることには違いありません。