藤田晋『起業家』孤独、憂鬱、怒り、それを3つ足してもはるかに上回る希望

起業家

「21世紀を代表する会社を創る」

サイバーエージェントの藤田晋さんは著作『藤田晋の仕事学 自己成長を促す77の新セオリー』の中で、「目標はひとつに絞り込もう」と書いています。

ということで、藤田晋さんの目標は「21世紀を代表する会社を創る」ことです。21世紀がはじまって15年ちょっと経った今、サイバーエージェントは日本を代表するIT企業へと成長しました。

正直なことをいうと、「企業」としてあまり良い噂を聞かないこともたまにあります(昨今のWELQ問題から派生した気メディアのあり方など)。それでもひとりの起業家として、スゴい人だなと思っています。

今回は藤田晋さんがこれまでサイバーエージェントを大きくしてきたノンフィクション『起業家』を見ていきます。

 

起業家

『起業家』は全8章で構成されています。

  1. 暗闇の中で
  2. 土台作り
  3. 追い風
  4. 手痛い遅れ
  5. ライブドア事件
  6. 逆風
  7. 進展をかけて
  8. 熱狂の夜

サイバーエージェントはネットバブル(ITバブル)崩壊を乗り越えて大きく成長した数少ない企業のひとつです。日本のインターネット黎明期からバブル崩壊を乗り越えた企業には、ソフトバンク、楽天、GMOなど有名ですよね。どの企業も最初から大きかったわけではなく、信じられないほどの苦難を乗り越えてきたはずです。

二〇〇〇年ネットバブル崩壊後、会社買収の危機だけでなく、業界の低迷で社内外から批判を浴びた日々。再びのネットバブルで親友・堀江氏に抱いた嫉妬心。そして発生したライブドア事件。株価大暴落の中、進退をかけて挑んだ新事業の行方は? 起業家の重圧と孤独、仕事の手腕と熱意すべてを赤裸々に綴り、働く意欲を掻き立てるノンフィクション。

お金を持った人を非難する風潮がどうしても(日本には)ありますが、みんな相応のリスクを負っています。これは誰にも否定できることではないのでは…と。

今日のLiveでILL-BOOSSTINOが何度も繰り返し言っていた、
孤独、憂鬱、怒り、それを3つ足してもはるかに上回る希望
それこそが起業家には必要。
これからまた希望を持たなくては。

藤田晋さんがふいに見せるクラブ音楽の一面も素敵だったりします。

当サイトでこれまでに紹介した『藤田晋の仕事学』『藤田晋の成長論』(ともに日経BP社)は、「日経ビジネス Associe」で連載されていたコラムをまとめた書籍ですが、本書はノンフィクションになります。

流れとしては『渋谷ではたらく社長の告白』(幻冬舎)に続く著作と考えるのがよいでしょう。『起業家』も幻冬舎から出版されています。見城徹さん(幻冬舎代表取締役社長)を感じますね。

 

暗闇の中で

本書ではサイバーエージェントの軌跡を見ることができます。そのもっとも大きな部分が第1章「暗闇の中で」です。代理店業務ではなく、メディア事業が大切であるという想い、それに対する現実を知ることができます。

「代理店業務」について以下のように述べています。

わずかなマージンのために他社の商品を代理販売していても、継続的に明日の飯の種が保証されるわけではありません。

そんな日々が続くような経営が大変辛いものだということを、2年半アルバイトでお世話になったベンチャー企業の経営を間近で見ることで教えてもらいました。

当時はその会社も、いろんなものを代理販売しつつもその場しのぎ的な経営から脱却したくて、必死に足掻いている最中だったのです。

一方の「メディア事業」は、(インターネット企業の場合)ページビュー数によって、大きく収益が上がります。また、ページビュー数によってパワーバランスにも影響を与えるとあります。

 

ライブドア事件

企業としての「土台作り」をして、インターネットの潮流によって「追い風」を受けたところで、ひとつの事件がおきました。「ライブドア事件」です。

家宅捜索翌日から、株式市場では、当然のようにライブドア株が連日ストップ安をつけ続けました。

”ライブドアショック”という言葉が生まれるほど、ネット関連企業の株は、投げ売りされるように一様に下がり続けていました。

当然、サイバーエージェントの株価もそれに釣られるように暴落していきました。

藤田晋さんと堀江貴文さんは起業当初からの盟友です(サイバーエージェントとオン・ザ・エッヂは業務提携したことをきっかけに親交を深めたとあります)。

※オン・ザ・エッヂ(後のライブドア)

 

アメーバ事業の成功

本書の後半は、サービス開始してから伸び悩むアメーバ事業について語られます。

ネットの場合、テレビの視聴率に当たる「ページビュー数」を伸ばすためには、仮にコンテンツの力が3割くらいだとすると、残り7割は技術力なのです。

快適な「サーバレスポンス」や、画面遷移やレイアウトやデザインなどの「UI」といった技術料がページビューを伸ばすのです。

今の自分にとって、とても参考になった記述でした。

「UI」とは「User Interface(ユーザインターフェース)」のことを表します。

そして、2011年アメーバ事業は300億ページビューを超えました。

 

不可能を可能にするのが起業家

本書は終わりますが、サイバーエージェントが終わるわけではありません。そして、IT業界はドッグイヤーと言われるように、日々変化を続けています。

現に、当時「ブログといったらアメブロ」というくらい人気だった「アメーバブログ」も、かつての人気はありません。SNSだってどんどん流行り廃りがある時代です。

最近では、AbemaTV(「AmebaTV」ではない)を作り人気が生まれています。

不可能を可能にするのが起業家です。

皆の反対を押し切っても、逆風に晒されても、窮地に追い込まれても、それでも自分が本気で熱狂しているものなら不屈の精神で乗り越えなければならないのです。

熱狂は、それを成し遂げるためであれば、さまざまな困難、孤独や憂鬱や怒りを乗り越える力を内包したものだと私は思います。

どんなに大きな企業でも、はじめは誰もが孤独です。自分を奮い立たせて、また進んでいきたいと思います。