堀江貴文『ゼロ──なにもない自分に小さなイチを足していく』掛け算はまだ早い

ゼロ──なにもない自分に小さなイチを足していく

世の中で「成功」していると言われる人の中で(そもそも成功の定義は曖昧ですが)、この人ほど好き嫌いが分かれる人も珍しいだろう、ホリエモンこと堀江貴文さん。本音を隠さない発言から、ときに炎上することも少なくありませんが、会社を大きく成長させたという実績は本当にスゴいことだと思います。

2006年に証券取引法違反で逮捕され、2013年3月に釈放されてから初の著書がこの『ゼロ──なにもない自分に小さなイチを足していく』。

堀江貴文さんが刑務所に入ってから唯一変わったのが、「コミュニケーションに対する考え方」だと言います。

理詰めの言葉だけでは納得してもらえないし、あらぬ誤解を生んでしまう。そればかりか、ときには誰かを傷つけることだってある。僕の考えを理解してもらうためには、まず「堀江貴文という人間」を理解し、受け入れてもらわなければならない。言葉を尽くして丁寧に説明しなければならない。その認識が完全に抜け落ち多くの誤解を招いてきた。これば最大の反省点である。

ここでは「カッコ悪さもすべて語ろう」という本書について見ていきましょう。

 

『ゼロ──なにもない自分に小さなイチを足していく』

これまで僕は、精一杯突っぱって生きてきた。

弱みを見せたら負けだと思い、たくさんの敵をつくってきた。

自分でもわかっている、どこまでも不器用な生き方だ。

そして僕は逮捕され、すべてを失った。

いま僕の心の中はとても静かだ。

久しぶりに経験するゼロの自分は、意外なほどにすがすがしい。

もう飾る必要はないし、誰かと戦う必要もない。

いまなら語れる気がする。ありのままの堀江貴文を。

それは僕にとっての、あらたな第一歩なのだ。

本書は全6章(第0章〜第5章)で構成されています。

  1. それでも僕は働きたい
  2. 働きなさい、と母は言った
  3. 仕事を選び、自分を選ぶ
  4. カネのために働くのか?
  5. 自立の先にあるつながり
  6. 僕が働くほんとうの理由

たとえば、情報はいつもテレビで収集して、「ホリエモン」「金持ちは悪者」というイメージで物事を見ている方にはおすすめできません。

反対に「変化を受け入れることができる」「失敗は恥ずかしいことではない」、そんな見方ができる方にはぜひおすすめしたい一冊です。ちなみに僕自身は、堀江さんスゴいと思っているひとりだったりします。

 

『ゼロ』の対談も数多くあります

『ゼロ〜』の出版のプロモーションのひとつとして、さまざまな人との対談があるのも特徴です。

ダイヤモンド社の書籍オンラインには、蜷川実花さん・ちきりんさん・三田紀房さんとの対談が掲載されています。

ちきりんさんとの対談については、『「Chikirinの日記」の育て方』の記事でも少し触れました。

cakes(ケイクス)では、糸井重里さんとの対談が全4回にわたって掲載されています。糸井重里さんと堀江貴文さんって一見まったく違う(合わない)ように感じますが、「今こそ堀江さんに会ってみたい」という気持ちで対談に臨まれたそうです(なんだか素敵です)。

 

ゼロの自分に、イチを足そう

本書は、堀江貴文さんのこれまでのあゆみをベースに語られていきます。第0章「それでも僕は働きたい」では、刑務所の中で触れた人(刑務官)の優しさや、出所後の気持ちについて触れられます。

もし、あなたが「変わりたい」と願っているのなら、僕のアドバイスはひとつだ。

ゼロの自分に、イチをたそう。

僕は働くことを通じて、自分に足し算していった。仕事という足し算を通じて、つまらない常識から自由になり、しがらみから自由になり、お金からも自由になっていった。掛け算ができるようになったのは、ずいぶんあとになってからのことだ。

この「足し算」と「掛け算」の比喩が面白いところです。

ゼロになにを掛けたところで、ゼロのままだ。物語の出発点は、「掛け算」ではなく、必ず「足し算」でなければならない。まずはゼロとしての自分に、小さなイチを足す。小さく地道な一歩を踏み出す。ほんとうの成功とは、そこからはじまるものだ。

世間の「ホリエモン」はいきなり成功したイメージが強いかもしれませんが、もちろんそんなことはありません(すべてを知っているわけではないけれど)。僕もイチを足す初心を忘れないようにと改めて思いました。

 

毎日10時間の睡眠を確保していた

第1章「それでも僕は働きたい」は、少年期から東大に入るまでの様子が綴られます。

堀江貴文さんの著作を読んだことがある方はご存知だと思いますが、彼はバリバリ働いていながらも(作業に「ハマる」という表現が使われます)、睡眠時間を大切にします。

実際僕は、どんなに追い込まれても毎日10時間の睡眠を確保するようにしていたほどだ。要は起きている14時間すべて──これは食事や風呂も含めて勉強に充てればいいのである。

必要な睡眠時間は人それぞれ異なるといいます。ちなみに僕は7.5時間くらいを意識しています。

本書に書かれている英単語を覚える速度なども相当なものですが、同時に睡眠をきちんと摂る、必然的に起きている時間に集中することが大切であることが分かります。

 

挑戦を支える、「ノリのよさ」

第2章「仕事を選び、自分を選ぶ」では、東大での堕落しきっていた生活(失礼)、アルバイトから起業といったものが語られます。この過程は堀江貴文さんの他の著書と比較すると簡潔になっています。

堀江貴文さんは大学生時代に友人とヒッチハイクをしたことで、自分に自信を持てるようになったといいます。それまでは交渉はもちろん、女の子と会話することもできなかったのだとか。

僕は、あらゆる人の一生とは、こうした小さな選択の積み重ねによって決まってくるのだと思っている。

チャンスだけは誰にでも平等に流れてくるもの

目の前に流れてきたチャンスに躊躇なく飛びつくことができるか。そこが問題なのである。

チャンスの見極め方がわからない?

僕に言わせると、その発想がすでに「ノリの悪さ」を表わしている。チャンスを見極める目なんて、必要ないのだ。少しでもおもしろいと思ったら、躊躇せずに飛び込む。そうしないと、せっかくやってきたチャンスは流れる桃のように過ぎ去ってしまう。

シンプルに考えれっばいい。すべてが「ノリのよさ」からはじまるのだ

本章の言葉を断片で引用しました。堀江貴文さんは「ノリのよさ」が大切だと言います。

「このままでは自分は変われない」と思えば、変化だって厭わなくなるはずです。僕は仕事は変化するのは抵抗ないのですが、ちょっと「ノリのよさ」が欠けているので(「ウェーイ」みたいのです)、このあたりは意識しないといけないかもしれません(できるか!?)

 

積み重ねた「イチ」の先に見えてくるもの

第3章「カネのために働くのか?」は堀江貴文さんの真骨頂とも言える「なんのために働くのか?」について書かれています。

本章の中で特に読み応えがある見出しを並べてみます。

  • お金から自由になる働き方
  • 仕事を好きになるたったひとつの方法
  • 通帳ではなく自分に貯金する
  • ゼロの自分にイチを足す
  • 積み重ねた「イチ」の先に見えてくるもの
  • やりたいことは全部やれ!

もし、あなたが仕事で成功して、人生の成功者になりたいと思っているのなら、仕事術の本を読む前にやるべきことがある。

掛け算を覚える前に、足し算を覚えよう。他者の力を利用する前に、自分の地力底上げしよう。同じ3を掛けるでも、2×3よりも5×3のほうが大きいように、自分が2なのか5なのかによって、結果は何倍にも違ってくる。ゼロからイチへ、そしてできれば5や10へ、自分をもっと積み重ねていこう。

積み重ねることの大切さは今に言われはじめたことではありません。

 

成長のサイクルに突入しよう

第4章「自立の先にあるつながり」では、離婚後の孤独、逮捕から釈放されてからの孤独などについて語られます。田原総一朗さんとのやりとりもとても感慨深いものがありました。

また、普段「努力」を「古くさいもの」とする堀江貴文さんが、成長のサイクルについて「努力」という言葉を使っているのが印象的でした。

人が前に進もうとするとき、大きく3つのステップを踏むことになる。

① 挑戦……リスクを選び、最初の一歩を踏み出す勇気

② 努力……ゼロからイチへの地道な足し算

③ 成功……足し算の完了

このステップを着実に踏むことで、小さな成功体験が得られる。そして小さな成功体験を積み重ねていった先に、成長がある。これはアスリートからビジネスマンまで、すべてに共通する話だ。僕自身、このサイクルを高速回転することによって成長してきたという自負がある。

努力という言葉には、どうしても古くさくて説教じみた匂いがつきまとう。できれば僕だって使いたくない。でも、挑戦と成功の間をつなぐ架け橋は、努力しかない。その作業に没頭し、ハマっていくしかないのである。

僕自身は「努力」という言葉はそこまで抵抗がありません。自分ではハマっている作業も、他人から見ると「スゴい」ように映ったとき「ひょっとしたら努力していのかもしれない」と思うときもあります(ちょっと驕った言い方になってしまったかもしれませんが)。

 

有限の時間をどう生きるのか

第5章「僕が働くほんとうの理由」は本書の最終章です。今までではなく、これからの堀江貴文さんの(当時の)ビジョンなども語られます。

また、他の著作でも語られる「死への恐怖」についても語られます。

前述のように、堀江貴文さんは睡眠をしっかり摂ることを推奨しています。

仕事の質は、ひとえに「集中力×時間」で決まるものだ。

寝不足のぼんやりした頭で10時間働くよりも、集中力を極限まで高めて2時間働いたほうが、ずっといい仕事ができる。

これは僕も他人と一緒に仕事をするときにもよく思います。どれだけ寝ていないかを競う人に仕事ができる人はいないですものね(笑)

 

今日のまとめ

堀江貴文さんの著作『ゼロ──なにもない自分に小さなイチを足していく』を紹介しました。これまでの強気なホリエモンとは異なり、普通の人である一面も十分に感じさせてくれる著作です。はじめから「掛け算」をするのではなく、自分にイチを足していくことを心がけたいと、強く思うのでした。