成毛眞『これが「買い」だ 私のキュレーション術』良いものに出会ったときだけ叫べばいい

これが「買い」だ 私のキュレーション術

逆張り」という言葉は、この人のためにあるのではないかと思います。

私は35歳からおよそ10年間、マイクロソフトの社長を務めた。そして、2000年に社長を辞した理由の一つは、「誰もが大声で『IT』と叫びだしたこと」だった。時はITバブル絶頂期。「世間がIT一色に染まったから、ソフトウェア会社の社長を辞める」という発想は逆張り以外の何物でもないはずだ。

ここまで徹底したアマノジャクな逆張りが素敵です。

ということで、今回はHONZ代表を務める成毛眞さんの『これが「買い」だ 私のキュレーション術』を紹介します。

 

成毛眞さんについて

まずは、成毛眞さんについてかんたんにまとめてみます。

1955年生まれ。

元マイクロソフト株式会社(日本法人)代表取締役社長。

インスパイア(投資コンサルティング会社)取締役ファウンダー

スルガ銀行株式会社社外取締役

現在HONZ代表。

とすごい経歴をお持ちの方です。しかし、普段「本を読む」という方以外では意外と知られていない気もします。

そして、本のタイトルにもあるように、「本は10冊同時に読め」「日本人の9割に英語はいらない」など、一瞬「えっ!?」となる言葉を多く発しています。同時に「そうそう!」と思う方も多いはずです。

 

これが「買い」だ 私のキュレーション術

本書『これが「買い」だ 私のキュレーション術』全部で7つの章で構成されています。

  • 逆張りの思考でいく
  • 情報の取捨選択術
  • 本を読むことのプラス
  • 人のやらないことをやる
  • 「本物」を手に入れるための方法
  • ビジネスヒントはここにある
  • さかさまに物事を見ていこう

また、本書の発売を記念して、新潮社のフォーサイトでは、成毛眞さんと堀江貴文による対談記事が公開されています。

情報を収集して選別する力。週刊新潮では「逆張りの思考」という連載をやらせてもらっていて、単行本になったんだけど、タイトルが『これが「買い」だ─私のキュレーション術─』。つまり、キュレーションこそが重要だと。今日は、現代の日本で我々が生き抜くためにいかにキュレーションやリテラシー(情報を活用する力)が大事か。そして、今お互いが何に注目しているのか、ざっくばらんに話したいと思ってます。

『これが「買い」だ 私のキュレーション術』出版記念対談 成毛眞VS.堀江貴文

成毛眞さんは堀江貴文さんのことをとてもかわいがっていますよね。彼もまた本質をズバズバと言うので、その点が似ているように感じます。

 

情報の取捨選択術

情報断食をしてみる」では、キューバでインターネットが使えなかった体験を通して、情報を遮断することの大切さを知ったとあります。

飛行機で帰国した私は、この10日間の情報断食のおかげで生まれ変わったように感じる。まず、iPhoneを手にする時間が短くなった。当然、SNSを閲覧する時間も、書き込む時間も激減した。一大事の如く報じられているニュースも、大半がなんだかしらけて見える。以前は興味深いと思っていた話題や動画も面白がり方がわからなくなってしまった。憑き物が落ちるとはこのことかと実感したのだ。

現代は情報が多すぎるとよく言われますよね。成毛眞さんのように遮断するというのもひとつの方法です。先ほどの対談相手の堀江貴文さんは、反対に浴びる情報量を多くする意見を持っています。このような真逆の意見というのも面白いものです。

 

本を読むことのプラス

成毛眞さんは、書評サイト、HONZを運営していることもあり、相当な読書家として知られています。ちなみに一ヶ月に読む本は30冊だとか。もちろん冊数がすべてではありませんが(佐藤優さんは300冊でしたっけ)、常にこれだけの知識を入れているのは純粋にスゴいですよね。

批評よりもキュレーションをする」は、本書のテーマとも言えます。

良いものを褒め、他人に薦めるのは実は簡単だ。褒めて薦めたくなるものに出会うまでは、口をつぐんでいればいいのだ。我々は批評家ではないのだから、のべつまくなしに批評をする必要はない。良くないもの、褒めるのが難しいものに出会ったら黙って無視し、良いものに出会ったときだけ、大きな声で「これはいい」と叫べばいい。

批評を避けるというのはとても参考になりました。

 

人のやらないことをやる

「人のやらないこと」として「ネタを仕入れる旅をする」「旅に日常を持ち込む」などをあげています。

ホテルの部屋にいる間は、ほとんどパジャマ姿で過ごす。そして、デスクには、持参した数冊のほんと、湯沸かしセットと紅茶のティーバッグ。それらを並べることで、ホテルの部屋が自宅のように様変わりするのだ。

この一文に共感しました。僕自身、最近は海外で暮らすことが増えました。それらは「ツアーでいく3泊4日の旅」というものではなく、すべてを自分で決めたものになります。

そして、観光ではなく現地で生活することに重きを置いているため、毎日外出するというより、部屋にいる時間も平均的な旅行者より多くなります。そのため、できるだけ日常と同じ状態でいられるように気をつけているのです。

 

「本物」を手に入れるための方法

「ITが仕事を奪う」と言われて久しくなります。「IT化できないところを見出す」には、成毛眞節が書かれています。

IT化はすべてのアマチュアをプロに変え、腕に自身のある本物のプロを排除する。だからこそ、IT化できないところに、プロの活躍するビジネスチャンスが眠っている。これからは、IT化の時代では決してない。

成毛眞さんは昔「せどり(競取り)」をしていたそうです。しかし、それらも現在は目利きの必要はなく、スマホアプリできるようになったあります。「IT化できないところ」について考えるときなのかもしれません。

 

ビジネスヒントはここにある

個人的にもっとも興味深かったのが、この章です。気になる見出しを並べてみましょう。

  • プラモデル市場の潜在能力を見る
  • 英語より歌舞伎を学ぶ
  • 京都に進取の気性を見る
  • 巨大かつ精密なものを見る
  • ニッチを攻める
  • ネットワーク効果を活用する
  • 「ストレートニュース」の価値を知る
  • 香りをトリガーする
  • 「枕元」にビジネスチャンスがある
  • 絵を描くならテクニックから教わる

以下、「ストレートニュース」について引用します。

今や読者や視聴者は、ニュースに対するコメントを求めているのではなく、自らコメントしたいのだ。つまり、自分がコメントしたくなるような、いつどこでなにが起きたかを端的に伝えてくれるストレートニュースを欲しているのである。ストレートニュースの価値が、相対的に上がっていると言っていい。

これはサイト運営者にとって、非常に参考になる意見ではないでしょうか。

 

さかさまに物事を見ていこう

成毛眞さんは「ゆとり教育」に賛成するなど、世間の風潮とは反対の意見を持つことも少なくありません。「ゆとり教育には大賛成」では、このようなことを書いています。

私は成績重視の学業教育に興味がない。なぜなら、学校でいい成績を修めること、そのための努力を怠らないことと、幸せな人生を送れるかどうかの間に、因果関係を見出せないからだ。

「英語」にしてもそうですが、本質を見て「関係ない」というのは、気持ちよかったりします。

 

今日のまとめ

成毛眞さんの『これが「買い」だ 私のキュレーション術』を紹介しました。「ビジネスヒントはここにある」などは、かなり実用的な内容に感じます。風潮をズバッと一刀両断してくれる成毛眞さんの本はとても好きです。そうそう、良いと思ったときに「これはいい!」と言えばそれでいいのです。