フリーランスの方のなかにはクラウドソーシングを使って仕事を得ている方も多いと思います。
僕もたまに使っています(たまにですが)。
以前、Twitterでクラウドソーシングについてツイートしたことがあったので、今回はそれを元にしながら記事を書いていきたいと思います。
目次
そもそもクラウドソーシングをはじめたきっかけ
僕は(実は)相場師です。
Web界隈にいるときはマーケティングっぽいこともやっていますし、音楽を作ったり映像を編集したりもしているのですが、一応生計を立てるきっかけになったのは(おそらく)相場です。
2011年頃、外国為替や先物などの取引のシステムを作ったこともあり、「体が空く」という(今思えば)非常に贅沢な経験をしました。
それからしばらくしてクラウドソーシングというものを知ります。日本国内ではランサーズ、そしてクラウドワークスという2大プラットフォームができていました。
一応、サービスを先行させたのはランサーズですが、クラウドワークスが上場したこともあり、後者の方が勢いがあるように感じます(私見です)。
ここでWebライティングをかじってみようと思い、「音楽」や「金融」「IT」など自分の得意分野の記事を書くようになりました(たぶん最初文字単価0.5円とかそんなだったと思います/笑)。
それでも、働いた分だけお金になるというのは新鮮な気持ちでした(相場はやったってマイナスになることはザラです。それでも続けることで長期的にはプラスになる)。
んだんと書き慣れていくうちにある傾向が分かるようになりました。それはジャンルによって報酬が高いものがあるということです。僕の場合は「金融」でした。
これはアフィリエイトサイトを運営している方なら分かると思いますが、ズバリ成約報酬の金額の高さに比例します(当時はあまり理解していなかった)。
また、(自分で言うのもなんですが)記事を書く人の「絶対数が少ない」というのもあったと思います(金融メディアのライターならともかく、当時のクラウドソーシングでは少なかった)。
評価がたまるほど仕事が得やすくなる
クラウドソーシングで仕事をしていると、徐々に評価が上がってきます。
最初、クライアントさんとはお互いに知らない関係なので、まずは「ギブ&ギブ」を心がけて信頼してもらうことが大切。
そして、「PRO」「認定」などのステイタスを獲得すると、良い案件がもらいやすくなります。— たもゆ/tamoyu (@tamoyusan) 2017年10月29日
そうこうしているうちにクラウドソーシングのライティング部門のランキングに入るようになりました。このときが月に10万円くらいだったと思います(反応しづらい微妙な金額ですね/笑)。
ツイートしている「PRO」というのはクラウドワークスの「プロクラウドワーカー」のことです。ランサーズでは「認定ランサー」という言葉を使っています。
実は僕がやっていた頃は、まだこれらのランクがありませんでした。ちょうどクラウドソーシングを離れてからできたんです(そのためしばらく僕は無冠でした)。
また、当時のシステムの使い勝手からクラウドワークスばかり使っていたため、評価がかなり偏っていました(現在もランサーズの評価はそこまで溜まっていません)。
ただ、働くほど評価されるのは間違いありません。これは現実と同じですね。
プラットフォームから仕事を受注するようになる
そのうちプラットフォームから直接仕事を依頼されることがあります(プラットフォームが仲介クライアントになっている案件もある)。
そこでディレクション業務(各ライターさんに発注したり納品されたものをチェックなど)をすると、ライティング系でも20〜30万円/月になります。— たもゆ/tamoyu (@tamoyusan) 2017年10月29日
そして、ある日プラットフォームから直接仕事を受注する依頼がきました。
それは、自分も参画している案件(当時は「音楽系」の案件)のディレクション業務でした。
僕は会社勤めをしたことがないので「ディレクション業務?」という感じになってしまいましたが、ひとつひとつ丁寧に教えてくれたのを覚えています。
Webライティングのディレクションとはこんな業務内容です。
- ライターさんに発注する
- ライターさんから納品された記事をチェックする
- クライアントに納品する
- フィードバックがあった記事をライターさんに修正依頼する
このディレクション業務の報酬がけっこうよく、1記事あたりいくら、月に200記事といった感じで発注されるので、月の報酬が一気に30万円くらいになっていました。
これで僕はライター部門のランキングの1位にしばらくいました。
クラウドソーシングのWebライティングの年収の天井は約600万円
ということで、多分気になるのが年収などお金のことだと思います。
当時、月の報酬が約30万円で1位でしたが、現在はクラウドソーシングの市場も大きくなっているため、おそらくトップの人は50〜60万円くらいを稼いでいると思います。
(実はトップクラスの人の何人かとは今も一緒に仕事をしているのですが…)
年収にすると500〜600万円くらいでしょうか。
昨年、某プラットフォームの集まりに参加したとき、ライティングの1位の方が600万円くらいだったのを覚えています。ちなみにエンジニアだと1200万円くらいだったと思います。
これはあくまで「クラウドソーシングのWebライティング」の相場です。
前述のようにクラウドソーシングでも「エンジニア」や「デザイナー」だと相場は変わりますし、現地で取材をするライターさんも単価は異なります(もっと高いです)。
クラウドソーシングはきっかけになる
クラウドソーシングはひとつのきっかけだと思っています。
そこで知り合ったクライアントさんと後日仕事をするようになったり、そこからさらに別の企業さんに仕事をつなげてもらったりと、仕事の幅が広がります(←僕もこのタイプでした)。— たもゆ/tamoyu (@tamoyusan) 2017年10月29日
クラウドソーシングはきっかけとして使うのはオススメします。
また、記事を書いて比較的すぐお金にもなるので(最短15日くらい)、「資金繰りが難しい」駆け出しのフリーランスの方の収入源にもオススメです。
ただし、長期的にはやはり「向いていない」というのが個人的な考えです。
クラウドソーシングの特性上、書いた記事が消費されるだけで蓄積されないからです。
「現代の魔法使い」こと落合陽一さんは著書『これからの世界をつくる仲間たちへ』の中でクラウドソーシングのことを「人でできた並列コンピュータ」と表現しています。
いままでは仕事の紹介や信頼や口利きで行ってきたことをプラットフォームがフラットにし、結果として、人はインターネット上に並んだ商品に成り下がってしまったということです。
事実、僕もある程度「こうやって書けばいいんだ」ということが分かってからは、それを「自サイトで運用した方がよいのでは」と思うようになり、自分でWebサイトを作るようになりました。
それでもクラウドソーシングはきっかけを作るのには向いています。
まったく縁がないところから関係を作るのは難しいですが、クラウドソーシングのプラットフォームがあれば、そこが営業を代行してくれるので仕事の取引相手を見つけることができます。
もちろんその代償として手数料が20%ほど発生します。
僕も最近でこそ減っていますが、たまにクラウドソーシングを覗いては、案件(現在はエンジニア系)を見ることもあります。
今でも付き合いのあるクライアントさんはそこで知り合った人も多くいらっしゃいます。
クラウドソーシングの闇
あと、つながりができたら、できるだけ上流で仕事をもらうのも大切だと思います。
企業が文字単価20円くらいで発注した案件でも、仲介クライアントを1つ2つ通すなど、各工程を流れるあいだに文字単価が2円になっているとかザラなので…(闇)— たもゆ/tamoyu (@tamoyusan) 2017年10月29日
2016年末、クラウドソーシングで集めたライターによるずさんな記事が話題になったのを覚えている人は多いと思います。いわゆる「WELQ事件」です(「事件」ではないけれど)。
あれはエンドクライアント(DeNA)から発注されたものが、1つ(または2つ)の仲介クライアント(代理店)を通してクラウドソーシングで発注され、末端のWebライターが書いた記事が原因になっています。
「Webライター」といっても、「主婦のお小遣い稼ぎ」と揶揄されるような「名だけライター」で、インターネットの情報を見てリライトをした記事を書く人たちです。
そんな人たちが「テキトー」な記事を書いたことが原因で、サイトはもちろんDeNAが運営するすべてのキュレーションサイトが閉鎖される事態にまで発展しました。
これはライターに支払う報酬もひとつの原因だと思います。
クラウドソーシングの初心者に支払われる報酬はとにかく安い!
大企業がクライアントの場合、それなりの文字単価で発注されるのですが、仲介クライアントが噛むほど、ディレクション業務などが噛むほど、末端ライターに支払われる報酬が少なくなります。
ここで、以前直接取引をしたことがある案件を偶然違う場所で見つけたものを例にあげます。
直接取引:1記事2万円(約2,000文字、文字単価10円)
間接取引:1記事2000円(約2,000文字、文字単価1円)
後者の内訳は以下のとおりです。
- 代理店A:5円
- 代理店B:1円
- 営業担当:1円
- ディレクター:1円
まず、企業から発注されたものが代理店Aによって5円引かれます(スゴい!)。
そして代理店Bに文字単価5円で発注されます。
この代理店Bは多くの場合「編集プロダクション」などになります。そこから、企業が1円(20%)をとり、仕事をつなげた営業担当が1円(20%)をとり、ディレクションをするディレクターが1円(20%)をとり、残りの2円(40%)をライターがもらうという仕組みになっています。
経済の流れということを考えれば妥当なのかもしれませんが、闇が深いですよね。
僕の周りのWebライターでは、ライターより営業の方に回ろうという人も目立ちます。そうすればライターに仕事を振ればお金が入ることになります。
ただ、ライターの人集めなど上手くいっているのを見たことはないのですが…。
なぜ人集めが難しいかというと、「できるライター」はとっとと独立してしまい、自分の足で案件を引っ張ってくるか、自分でWebサイトを作ってしまうことがほとんどだからです。
そして、残った人は必然的にクラウドソーシングにいるのと同じ層になってしまうという形ができあがります。それではクライアントから仕事が請けられないため(請けられても継続案件はもらえない)、思うように人が集まらない現実ができるのです。
今日のまとめ
クラウドソーシングについて思うことを書いてみました。
冒頭にも書いたように、クラウドソーシングは即金性が高いため、一時的に利用する、人とのつながりを作る上では使うのをオススメします。
しかし、あまり長い目で使うものではないというのが個人的な考えです。もしそれくらい記事が書けるという方は、自サイトに投稿した方が長期的な資産になるはずです。
新しい働き方のクラウドソーシング、上手に活用してみてください!