「自分の仕事がAIに奪われるのでは…」
2013年9月、オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授が「AIやロボットによって、米国の雇用の47%が消える可能性がある」と予測を発表したことで、AIやロボットに対して漠然とした不安を抱いている人も多いのではないでしょうか。
一方、日本でも野村総合研究所が同様の研究を行っています。
この調査によると、「日本の労働人口の約49%が、人工知能等で代替可能である」との結果が出ています。これは米国の47%、英国の35%より多い比率です。
佐々木紀彦さん(NewsPicks編集長)は、著書『日本3.0』の中で、「2020年以降の働き方でキーワードになるのは『両利きのキャリア』」だといいます。
2020年以降、どのような仕事がAIに奪われ、どのような仕事が残るのか。そして、僕たちはどのような働き方をしていけば良いのでしょうか。
AIやロボットで代替される可能性が高い仕事と低い仕事

まずは、「AIやロボットで代替される可能性が高い仕事」と「AIやロボットで代替される可能性が低い仕事」のリストを見てみましょう。


出典:野村総合研究所
「AIやロボットで代替される可能性が高い仕事」は、事務職、タクシー運転手、レジ係などがあげられています(ホワイトカラーの「なんちゃって管理職」もそうです)。
一方、「AIやロボットで代替される可能性が低い仕事」には、医者、先生、コンサルタントなどコミュニーケーションが必要な仕事があげられています。
「代替される可能性が低い仕事」には、現在「あまり給与が高くない」と言われる仕事が多く入っているのも注目したいところです(はり師・きゅう師、アロマセラピストなど)
本書にもあるように、「49%の仕事が代替される可能性がある」といっても、「増える仕事」(コンビニの商品を入れ替える仕事など)もあるので、一気に仕事が減ることはなさそうです。
会社に残れる7つのプロ

佐々木紀彦さんは、今後会社に残れるのは7つに絞られると言います。
- 少人数のトップマネジメント
- スリム化されたバックオフィス
- チーム作りに長けた中間管理職
- 人間力あふれる営業
- ストーリーを創れるマーケティング・ブランディング
- センスと粘りのある商品・サービス開発(+製造)
- 成長を生む「海外事業」「M&A」「新規事業」のプロ
これを見ると、現在会社に勤めている人は「自分がどれに当てはまるのか」「どこを目指すべきなのか」が見えてくると思います。
たとえば、僕だったら(会社に勤めているわけではないのですが)、「1」か「7」なのかなと自覚しています(現在の企業とのつながりを考えると7だと思う)。
働き方の4つのコース

最近、「ワーク・ライフ・バランス」という言葉をよく聞きますが、「自分で好きなように働いている人」ほど、この言葉に違和感を覚えるようです(僕もそのひとりです)。
ただ、割合として少数派なのも自覚しています。
佐々木紀彦さんは、「日本3.0」の時代の働き方に4つのコースがあるといいます。
- グローバルリーダー型:約0.01%
- ナショナルリーダー型:約1%
- ローカルリーダー型:約9%
- 普通の人:約90%
かんたんにいうと、「グローバルリーダー」は世界トップを目指す層です。山中伸弥教授やイチロー選手、孫正義社長などがあげられます。
「ナショナルリーダー」は、世界最前線までいかずとも、日本のトップレベルで活躍する層です。僕はDMMの亀山敬司さんが思い浮かびました。
「ローカルリーダー」は、日本各地で、各分野のリーダーとして活躍する人たちです。そして、今後はここを目指す人が増えてくるといいます。
もちろん、リーダーを目指さずに「普通の人」でも十分です。そして、ワーク・ライフ・バランスという言葉は、圧倒的にこの層の人たちのためにある言葉だと思っています。
「リーダーとして生きたい人」の10パターンの生き方

上の分類のうち、リーダー型(全体の約10%)は10パターンに分けられます。おそらく『日本3.0』に興味がある方の多くが、その対象のはずです。
- 大企業出世型
- 大企業イノベーター
- スタートアップ出世型
- ローカル企業イノベーター
- プロフェッショナル
- ソートリーダー
- グローバルリーダー
- 起業家
- パブリックイノベーター
- 政治家
分類からも分かるように、1と2は大企業に属しながら出世するタイプです。
3と4も企業(3はベンチャー企業、4はローカル企業)に属するタイプです。僕の周りだと、紆余曲折を経てベンチャーに入ってメキメキと頭角を現す人が多いように感じます。
ソートリーダーは、新しい思想をつくるという点で堀江貴文さんがあげられています(本書と合せて『多動力』を読むと理解が深まります)。
グローバルリーダーには、伊藤穰一さん(MITメディア・ラボ所長)があげられていました(同じく『9プリンシプルズ』を読むと未来の働き方がつかめます)。
「両利きのキャリア」を持つ

こんな感じで10パターンの生き方(キャリア)が紹介されましたが、どれかひとつを選ぶのではなく、「融合型」が有望であるのだといいます。
今後のキャリアを考える上でのキーワードは「両利きのキャリア」です。
専門、価値観、人脈などをひとつの領域に限定せず、2つ以上持つことが強みになります。その2つが相互補完的であれば、なおさらプラスです。
佐々木紀彦さん自身、「記者」「編集」「ビジネス開拓」を同時にやっています。
そして、両利きのキャリアを手に入れるには、常に動き続ける「多動であること」が求められます(これについてもっとも強力なのが堀江貴文さんですね)。
おそらく、今この記事を読んでいる方の多くが、「2020年以降さらにキャリアアップしたい」と考えているリーダー層(思考)だと思います。
ひとつに特化せず、2020年以降の日本3.0を生きていきましょう(僕も楽しみです)。