僕は会社に所属せずに働いています。
自分でWebサイトを作ったり、クラウドソーシングを使って仕事を得ることもあります。そして、ひょんなことから企業さんに声をかけていただいて、実際に会社に行って仕事をすることも少なくありません。
僕は会社員ではないので、その会社と関わるのは基本「プロジェクト単位」です。すぐ終わってしまうものもあれば、なかにはプロジェクト終了後も付き合いが続くものもあります。
そんななか、付き合いのある会社の月次発表会で社長が推薦した本が『ALLIANCE 人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』でした。
会社と個人の間に、フラットで互恵的な信頼に基づく「パートナーシップ」の関係を築こうよ、というのが本書の主張です。
「この考えを大切にしたい」という社長の発言を聞いて、「この会社っていいな」と思ったのです。
目次
『ALLIANCE 人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』
本書は全8章で構成されています。
- ネットワーク時代の新しい雇用
- コミットメント期間を設定しよう
- コミットメント期間で大切なもの
- 変革型コミットメント期間を導入する
- 社員にネットワーク情報収集力を求める
- ネットワーク情報収集力を育てるには
- 会社は「卒業生」ネットワークをつくろう
- 「卒業生」ネットワークを活かすには
僕と同じような働き方をしている人には、特に1章の「ネットワーク時代の新しい雇用」が興味深いのではないでしょうか。
起業家タイプの人材を活かす
今日、企業にとって一番大事な社員の能力は、起業家のように考え、動く力なのだ。
本書では具体例としてジョン・ラセター(ピクサー)、ベンジャミン・ブラック(アマゾン)というふたりの真逆の例をあげながら説明しています。
会社勤めをしていない人(特に「ノマドワーカー」と浮かれる人)の中には、「会社員はダメ」という考えを持っている人がしばしばいます。
これはかなり危険な考えです。
僕自身、会社に行っていろいろな人と仕事をしますが、特に役員クラスになると社員の誰よりも働いているという人は多くいます。
ステレオタイプの会社員を想像して、「独立こそ正義」となってしまうのは違うと思います。
コミットメント期間の3つのタイプ
第2章では、人を3つのタイプに分類します。
- ローテーション型
- 変革型
- 基盤型
ローテーション型
ある社員を規定の職務に就けたり外したりということが簡単にできる
変革型
期間を一定に定めることにはあまり重きを置かず、特定のミッションを完遂することに重点が置かれる。
基盤型
自分の人生と会社が根元から不可分に絡み合っている人たちである。
この3つの分類はとても興味深かったです。
3つのタイプのコミットメント期間を組み合わせる
多くのスター社員は上を目指す野心があるからこそ、基盤型コミットメント期間を拒む。野心的な企業は野心型のスター社員を欲しがる傾向があるが、そういう人材はいつの日か自分で采配を振るいたいのだ。
まさにその通りですよね(笑)。
スター社員をたくさん採用してもポストが不足してしまって、「結局転職することになってしまう」というのが著者の考えです。だからこそ「それぞれの配合を変えることが大切」とあります。
このあたりは会社経営者(役員クラス)を見ていると、そのように(配合を考えているように)感じます。
社員が得た情報を会社に還元させる
社員が面白い人物をお茶に誘ったり、会議に参加したりして情報を得たら、その知識を会社全体に「拡張」できる仕組みを用意しておこう。
僕はこの事項を付き合いのある会社に提案しました(現時点ではあまり上手くいっていないのですが)。
本書に書かれているEメールやプレゼンテーション、研究発表などとても良いと思います。
今日のまとめ
会社に所属していてもいなくても、『ALLIANCE』は会社との付き合い方を考え直すきっかけになります。
本書が良かったので、著者のふたりリード ホフマン、 ベン カスノーカによる前著『スタートアップ!』も読んでみようと思っています。