以前、ライフネット生命保険の出口治明さんの勉強法がスゴいという記事を書いてからというもの、彼の著作を多く読むようになりました。その著作にも、参考になることが多く書かれています。
ちなみに出口治明さんは2017年6月に会長を退任することを発表されました。
今回は出口治明さんの著作から『百年たっても後悔しない仕事のやり方』を紹介します。
目次
百年たっても後悔しない仕事のやり方
本書は全15章で構成されています。
- 仕事について、四つの視点
- 日常の基本的な仕事
- 仕事の目的に意識を集中する
- 仕事の現実、時間も人材も有限である
- 仕事には必ず相手が存在する
- 成功に慢心せず、失敗に後悔せず
- 時代の流れの中で、仕事の方向は決まっていく
- 海外での仕事について、英語について
- 常識は疑え
- 分析力
- 集中力
- 決断力
- 思索する力を、実行する力に変えるために
- 会社の仕事、三つの立場―社員・管理職・経営者
- たくましく生きて仕事をするために
以下、気になった内容をまとめてみました。
仕事について、四つの視点
4つの視点(タイトルではないの算用数字で表記します)については、小見出しがそのまま視点になります。
- 会社選びにくよくよする必要なし
- 働くことが生きること
- 自分に正直に仕事をして、健康に生きる
- 人生設計を立てる、立てられると思う誤謬
僕自身も思いますが、おそらくみんな就職活動に命をかけすぎだと思います。
人の一生は、どこかの会社に入って、そこですべての人生が完結するとは限りません。そのように未来を固定化して、そこに自分の人生を乗せて考えられるほど、そもそも現代の日本は安定していません。頼りになるのは自分です。
本書に書いてあるように、ダーツの矢を投げて、当たった会社にするくらいで良いのです。
日常の基本的な仕事
30代に入った頃から、出口治明さんは人と会うことに集中するようになったとあります。
楽しくお酒を飲むこと自体が目的になる夜もありますが、人と会うことで初めて何かを知ることも多いのです。
このときから気をつけているのが以下の3つのことだそうです。
- 会いたいと思った人にはすぐに会いにいく。
- 食事やお酒に誘われたら、誰であろうと断らない。
- 呼ばれたらどこにでも行く。
これはすごく参考になります。
仕事には必ず相手が存在する
人脈を作ろうと異業種交流会が好きな人は多くいます。僕は行きません。出口治明さんと同じ理由を持っています。
人脈は結果的に作られるものであって、自分の意志で作ったり広げたりすることは不可能だと、私は考えています。もし、人脈を、自分が仕事をやることの役に立つように作ろうとするのであれば、その考え方には無理があります。また、私の好むところでもありません。
もちろん、人脈ができたのは、前述のように「人に会うことを惜しまない」ことを続けた結果であることはたしかであることにも、言及しています。
成功に慢心せず、失敗に後悔せず
何かをやろうと挑戦する時は、成功体験を忘れて、また失敗体験を恐れすぎず、すべてを御破算にして(自分をゼロにして)、原点から考えることのほうが成功の確率は高いと思います。
成功に慢心して消えていった人たちの例は数多く見てきました。こればかりはいつも反面教師にしています…。
海外での仕事について、英語について
海外で仕事をするとき、多くの外国人とコミュニケーションを取る上で、次の3つを決めたとあります。
- 誘われたらどこにでも行くこと。
- パーティでは知人がいなくても最後まで会場に残ること。
- 面会やさまざまな招待状は、内容を問わず先着順に受けること。ただし先約が日本関係のもので後から英国や諸外国からのアポイントメントが入ったら、後者を優先すること。
ここで「英国」とあるのは、出口治明さんがロンドンで仕事をしていた時期を例にあげているからです。
先ほどに続き、自分に課題を与えるという点も勉強になります。
常識は疑え
常識は真理ではありません。不変ではあり得ず、時代や社会が変われば変化していくものです。したがって、物事を考えたり判断する場合、あまり世の中の常識に頼りすぎてしまうと、社会の動きの中に芽吹き始めている小さな変化を見逃して、時代から遅れる危険があります。
気持ち良いくらい代弁しくれます。
たとえば、打ち合わせなどで「そういうものだから」という意見が出てしまうと、「あっ…」となってしまいますよね(笑)
思索する武器
出口治明さんは思索する武器として3つあげています。
- 分析力
- 集中力
- 決断力
分析力にある「ふたつの軸」というのは、多くの人が参考になるはずです。
ひとつの出来事や文化について、長い時間の中でとらえなおす「歴史というタテ軸」と、ひとつの問題に対する他企業や世界の国々における結果や反応などと比較対照してとらえなおす「場所というヨコ軸」、このふたつを考える軸とする分析の仕方です。
また、何かを得るときは、必ず何かを失う「トレード・オフ」についても言及があります。
世間でよくいわれる「いいとこ取り」の発想は、なんとなく賢い印象を受けます。ふたつの方法のいいところだけを取り出して、第三の方法を作る。それはかっこよい発想なのですが、ひとつのことを忘れているように思うのです。「いいとこ」すなわち長所の裏側には必ず短所があります。そのことを忘れてはいないでしょうか。
この「いいとこ取り」発想について、「ロマンチックな幻想」と切り捨てています。
たくましく生きて仕事をするために
私は若いビジネスパーソンの皆さんに、学習すべき時に機会を逸してしまった学力と教養を身につけることを、いま、実行して欲しいと思います。それは自分への投資、すなわち自己投資です。そうすることで、国際的な舞台で対等に討論し、一緒に笑いあって世間話をして酒も飲み、仕事の解答を出せるグローバルな人間に育って欲しいと思います。
自己投資の大切さについて改めて述べています。また、出口治明さんと言えば読書です。もちろん本書の中でも読書の必要性について述べています。それについては、また別の書籍の機会にしたいと思います。
今日のまとめ
出口治明さんの『百年たっても後悔しない仕事のやり方』を紹介しました。60歳で会社を興したというのは、「常識」からするとかなり変わったキャリアです。だからこそ、そんな彼の考え方には学ぶべきことが多くあるのだと思います。本書は良書ですので、読むのをオススメします。