
国家は破綻する。
もしくは、それに近い状態に陥り、社会が大きく揺らぐ。
僕たちにとって「国家が破綻する」というのは、正直なところいまいち実感がわきません。
しかし、本書を読むと「本当に破綻するんだ」という感覚が分かります。と同時に「日本の不安定さ」も感じるようになります(こちらは現時点で感じている人も多いはずです)。
ということで、今回は世界を見て回る高城剛さんの『世界はすでに破綻しているのか?』を紹介します。
世界はすでに破綻しているのか?
『世界はすでに破綻しているのか?』は、全3章で構成されています。
- 国家財政破綻、人はどう生き延びたのか?
- ユーロ圏危機に学ぶ「生き延びるヒント」
- デトロイトに見る、アメリカの未来
また、「はじめに」では、本書を書くに至った経緯が描かれます。
「景気がいいときこそ、おとなしくしていたほうが賢い」
リーマン・ショック以降のイギリスの様相は、学生時代に肌で感じたことを再確認させてくれた。
「景気がいいときにおとなしくする」とは、なかなかしようと思ってもできない人が多いですよね。高城剛さん自身、一時期は派手な生活を送っていたことを認めていますが、現在は「オーガニックな生き方」を学んだとあります。
もっとも相対的に派手ではないというだけであって、世間一般の方(もちろん僕を含めて)から見れば、世界中を動き回っているのは、十分に派手にも見えます(笑)
それでは、各章について気になる内容を見ていきたいと思います。
国家財政破綻、人はどう生き延びたのか?
第1章「国家財政破綻、人はどう生き延びたのか?」では3つの視点からに書かれてます。
- ソヴィエト連邦崩壊
- アジア通貨危機と韓国
- アルゼンチン
海外に目を向けるビジネスパーソンにとって、タイは注目されます。そんなタイも、アジア通貨危機の標的のひとつになったことが分かります。
香港返還のお祭りムードも覚めやらぬ翌7月2日、東南アジアの新興国タイを最初の悪夢が襲った。タイの通貨バーツの暴落である。このバーツ暴落の余波は、マレーシアやインドネシア、韓国、フィリピンなどへも次々へと伝播し、アジア経済に大きく深刻な打撃を与える事態となる。いわゆる「アジア通貨危機」である。
なぜ、起きたのか。どうなったのか。それらがとても分かりやすく書かれています。高城剛さんの文章って読みやすく、また物語のように引き込まれます。
ユーロ圏危機に学ぶ「生き延びるヒント」
第2章「ユーロ圏危機に学ぶ「生き延びるヒント」」では、前章と同じく3つの視点からに書かれてます。
- スペイン危機
- ギリシャ危機
- キプロスの国家財政破綻
ユーロ圏の財政問題は、外国の経済ではしばしば目にしますよね。その度にユーロ相場が大きく動くのが分かります(笑)。
キプロスは、オフショア(格安の法人税)であることから、特にお金関連に関心がある人はよく知る場所ですが、一般的な知名度は高くありません。場所は地図で示したところ(地中海)にあります。
これだけ破綻があってもこんな言葉がインタビュー内にありました。
でも、フクシマよりマシさ。ここは気候もよく、生きていくには十分な環境がまだあるから
世界から見る日本を知ることになります。たしかに外国人が多く使うスーパーマーケット(日進ワールドデリカテッセンなど)は、「フクシマ」って書いてありますからね…。
デトロイトに見る、アメリカの未来
そして、第3章「デトロイトに見る、アメリカの未来」では、世界経済の中心であるアメリカについて語られます。
2013年、デトロイトが破綻しました。
この破綻をチャンスだと捉える者もいるという。すなわち「破綻によって儲けよう」とする者である。
そのひとつとして、格安になった「街の資産」を狙うベンチャーキャピタルがあげられています。
今日のまとめ
高城剛さんの『世界はすでに破綻しているのか?』を紹介しました。個人的には第1章のふたつめ「アジア通貨危機と韓国」がもっとも興味深かったです。これからも世界は必ず大きく動くはずです。そのときにどう動くか、過去を知ることが大切なのだと思います。